当店の取り扱い紅茶茶葉をご紹介
2025/03/01
豊富な紅茶メニュー
あなたのお気に入りの茶葉を見つけてください
長崎市眼鏡橋近くのカフェ・indies art clubで は、お客様がリラックスした時間を過ごせるようなお店づくりを意識しています。
フードメニューやドリンク・デザートなど多彩なメニューをご用意しておりますが、
その中でも特に力を入れている紅茶についてご紹介します。
種類によって香りも味も全く異なる紅茶ですが、あまり馴染みのない茶葉はチョイスするのには少し勇気が要ります。
ここでは当店で扱っている紅茶の茶葉について一つずつ解説。
茶葉のことを知ることでよりティータイムが充実し、お気に入りの茶葉を見つけるお手伝いになれば幸いです。
目次
BLACK TEA 茶葉そのものの味わいを知る
01
インド ダージリン
India Darjeeling
スリランカのウバ、中国のキームンと並んで、世界三大銘茶の1つに数えられる紅茶。
ネパール語で「雷の地」を意味するダージリンはインド西ベンガル州の西北、ネパールとブータンに挟まれたヒマラヤ山脈に位置します。
街の中心は標高2300メートルの山岳地にあり、茶園は300〜2200メートルの険しい斜面地に広がっています。
標高の高さもあり、日中と朝夕の気温の温度差が激しく霧が何度も発生。このような寒暖差と変わりやすい気候は、ダージリンの茶葉にとって個性を産む重要な条件です。
この独特な環境が、「紅茶のシャンパン」と称されるほどのマスカットを思わせる、卓越した香りと刺激的な渋み・爽快さをを作り出します。
年に3回のシーズン(ファーストフラッシュ・セカンドフラッシュ・オータムナル)があり、それぞれ違った表情を見せてくれる茶葉です。
◉ダージリンファーストフラッシュ
3月〜4月にかけて摘まれる一番茶。
春らしいフレッシュでみずみずしい紅茶です。
春でもまだまだ冷涼な気候では発酵がなかなか進まず、茶葉も緑茶に近いちょっと緑がかった見た目。
お茶の色も薄い黄色〜薄いオレンジと、紅茶と緑茶の中間のような色をしています。
引き締まるような渋みと、優しい喉越しの1杯。
スイーツや甘いものを食べる際、口の中をリセットするのにピッタリです。
◉ダージリンセカンドフラッシュ
5月〜6月に摘まれる、ダージリンのクオリティシーズン(品質が1番いい時期)にあたります。
渋み・香り・色のバランスが1番良く
キリッとした渋みに、しっかりした味わい。綺麗な赤みがかったオレンジ色が美しい紅茶です。
マスカテルフレーバー(マスカットのような香り)が特徴。
目が覚めるような爽やかな香りを楽しんで。
◉ダージリンオータムナル
10月〜11月に摘まれる秋摘み茶。
ファーストフラッシュ・セカンドフラッシュとは特徴が異なります。
茶葉の外観は緑色が消え、しっかりした黒褐色。
水色の赤みも深く、渋みは穏やか。 熟したフルーツのような甘味のある香り、そしてコクがしっかりしています。
ブラックティーはもちろん、ミルクティーもおすすめです。
インド アッサム
India Assam
アッサムはインド北東部に位置しており、背景にはヒマラヤ山脈、大河のブラマプトラ川を有する広大な平野です。
茶摘みは3月〜11月ごろまで行われます。
クオリティーシーズンは、セカンドフラッシュの5月〜6月。
インド紅茶の全生産量120万トン(年間)のうち約80%をアッサム茶が占めています。
赤い水色が綺麗で、どっしりとした重厚感のある甘味とコク。
「モルティーフレーバー」とも言われる、ずっと嗅いでいたくなるような蜂蜜を思わせる甘く香ばしい香りが癖になる一杯です。
またオーソドックスな紅茶らしい渋みと落ち着いた香り、そしてボディ感のある味わいはミルクティーにもピッタリ。
スリランカ ウバ
Sri Lanka Uva
ダージリン・キーマンとともに、世界3大銘茶として名を馳せるウバ。
スリランカの南東部標高1400〜1700メートルに位置する産地です。特に東側のウバでは、7月〜9月に南西からの季節風が山に当たって、乾燥した風が吹き霧を吹き晴らして、一気に茶葉を乾燥させます。
この風と霧と強い日差しによってウバのフルーティーな香りと刺激的な渋みが生まれます。
ちなみに、ウバという地名は険しい山や谷に吹く風の音から名付けられたとか。
ウバは爽やかでキレのいい渋みとバラのようなそしてスッと鼻に抜ける香りが特徴。
クオリティーシーズンは7月〜8月。刺激的な渋みとオレンジ系の輝きのある赤い水色は
ミルクと相性がよく、ミルクティーでも楽しめる茶葉です。
スリランカ ルフナ
Sri Lanka Ruhuna
ルフナとは、かつてこの島が紀元前に3つの王国に分かれていた頃の国の名前に由来しています。島をおよそ3等分したときの北部をピヒティ、西南部がマーヤ、そして南東部を、ルフナ王国と呼んでいたそうです。
ルフナ以外の銘柄は、スリランカの地名からとられていますが、ルフナは現在の地図にその名前を見つけることは出来ません。
ルフナは、スリランカの5大紅茶産地(ウバ・ヌワラエリア・ディンブラ・キャンディ・ルフナ)の中で最も標高が低く、標高0〜600メートル地帯に位置します。
他と比べて気温も高く、この環境の違いがルフナに個性を与えています。
ルフナは、砂糖が焦げ始めたような甘く、独特なスモーキーな香りが特徴的です。味は濃厚ですが渋みはまろやかで優しく飲みやすい一杯。
また、ボディー感のある味わいとじんわり柔らかい香りがアッサムに似ているのでAssumy Ceylon と呼ばれることも。
日本ではあまり馴染みのない茶葉ですが、サウジアラビアでとても人気のある茶葉のようです。
ブラックティーはもちろん、ミルクティーにしても美味しい茶葉です。
中国 キームン
China Keemun
中華人民共和国の安徽省に祁門市があり、1870〜80年代にここで紅茶が作られたことからキーマン紅茶が誕生。
1915年にパナマで開かれたモンドセレクションで金賞を取り、世界3大紅茶の1つになりました。
個性として特徴的なのは、イギリス人を魅了したオリエンタルな香りです。蘭の花や、りんごなど糖蜜などを思わせる芳香、かすかにスモーキーフレーバーも感じます。花や果物の甘さをイメージさせる一杯です。
水色は、深みのある赤色で味わいは濃厚で甘みがあり、優雅な渋みを持っています。
ルフナと同様あまり馴染みのない茶葉ですが、紅茶を注ぐ瞬間に立ち昇る香りにきっと魅了されるでしょう。
FLAVOURED TEA 気分に合わせて変化をつけて
02
アールグレイ
Earl Grey
紅茶と言えばアールグレイ…名前を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。馴染み深いからか、当店でも一番注文が多い茶葉です。実はアールグレイは茶葉の種類ではなく、フレーバードティーだというのをご存知でしょうか?
アールグレイはベルガモット(柑橘系果実でさわやかな香り)の香りをつけた、フレーバードティーです。
1830年から1834年にイギリスの首相を務めた2代目グレイ伯爵の名に由来しています。
グレイ伯爵は中国の使節団が持ち帰った中国産の紅茶をとても気に入り、その代わりの紅茶商のトワイニング(ジャクソンとも)に注文。中国産の紅茶は「正山小種」という紅茶で 松柏で燻煙された煙の香りだったが、イギリスに運ぶ過程で香りが薄れたこととイギリスの硬水の影響で香りが優しくなり フルーティーな香りに。中国の果物「龍眼」(茶色の果皮に包まれたライチのような果物)の香りがする、とイギリスで人気を博し イギリスの商人がこの香りを再現しようとするも、「龍眼」を知らなかった彼らは 龍眼の代わりにベルガモットを使用しました。こうやって1860年から70年にかけて誕生したのが、ベルガモットのフレーバードティー アールグレイです。
また、アールグレイを作った際 特許を取らなかったために どの茶葉でもベルガモットの香りをつければアールグレイになるため、今日多彩なバリエティーのアールグレイを楽しめるようになりました。
当店のアールグレイはアールグレイ発祥に ちなんで、中国の紅茶にベルガモットの香りをつけたものを使用しています。香りが繊細で渋み感の少ないキームンに、爽やかな柑橘香の合わさった 穏やかな一杯。一番人気なのも頷ける美味しさです。
ダージリンのアールグレイ、セイロンティーのアールグレイ、ミルクティー向き、中にはルイボスティーのアールグレイなんて変わり種も…
ブランドによっても違うので膨大な種類のアールグレイが存在します。
あなたのお気に入りのアールグレイもきっと見つけてみてください。
アップルティー
Apple Tea
林檎の甘酸っぱい香りに包まれる、アップルティー。
当店では、金色の缶でお馴染みのFAUCHONアップルティーを使用しています。
紅茶以外の食料品やグッズを取り扱っているので目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
1886年オーギュスト・フォション氏がフランスのマドレーヌ広場に小さな食料品店をオープンさせたのが、FAUCHONの始まり。アップルティーはFAUCHONが初めて手がけたフレーバーティー。上質でコクのあるセイロンに甘酸っぱいりんごの香りをプラスしてあります。
「アップルティーがあるなんて、珍しいですね」
とよく言われるのですが
実はアップルティーは当店オーナー・内浜のお気に入り。そんな訳で常備しております。
自然な林檎の香りが心地よい、オーナーの一押しの一杯 ぜひお試しください。
アールグレイ クラシック
Earl Grey
二つ上のセクションでアールグレイをご紹介しましたが、もう一つ個性の違ったアールグレイをご紹介します。
アールグレイの発祥について先程触れましたが、そのオリジナルのアールグレイに近い味わいが再現されたのがこのアールグレイ・クラシック。
イギリスに入ってきた中国茶は「正山小種」という紅茶で 松柏で燻煙された煙の香りがしたそう。このアールグレイ・クラシックは燻製の香りの中にフルーティーな果実のニュアンスが感じられる、リッチな一杯。 少しクセのある味わいなので好みが分かれるかな?と思いきや、提供したお客様からは「なんていい香り!」と絶賛頂くことが多いです。
オーソドックスなアールグレイと飲み比べても面白いと思います。ずっと嗅いでいたくなる印象的でオリエンタルな香り、ぜひ一度お試しください。
MILK TEA まろやかに和む一杯
03
お食事後やデザートとご一緒にミルクティーはいかがでしょうか?
特に寒い冬などに、体を内側から温めリラックスするのにうってつけのお茶です。
当店では牛乳に低温殺菌牛乳を使用することで、重たくなくすっきりしたミルクティーをご提供しております。
また淹れた紅茶に牛乳を足すティーウィズミルクではなく、手鍋で入れるシチュードティーで提供することにより 茶葉そのものの美味しさをしっかり引き出しています。
最後までお読み頂きありがとうございます。当店で使用している紅茶の茶葉についてのご紹介でしたが、いかがだったでしょうか?
茶葉の特徴や産地について知ることで、毎日のティータイムがより楽しく充実した時間になります。
本記事では当店でレギュラーメニューとして扱っている茶葉のみ取り上げましたが、
今回ご紹介した茶葉以外のものも、限定メニュー等で今後ご紹介できればと思います。
今後も紅茶やカフェについての情報を発信していきますので、ぜひチェックしてください。
参考文献 一覧
・日本紅茶協会「紅茶の大辞典」成美堂出版 2013 271p.
・磯淵猛 「紅茶辞典」 株式会社新星出版社 2008 222p.
・磯淵猛 「基礎から学ぶ 紅茶のすべて」 株式会社誠文堂新光社 2016 255p.